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【観劇レポ】若き王の苦悩と成長と躍進劇!松坂桃李主演『ヘンリー五世』

イギリスの劇作家シェイクスピアの全37作品すべての上演を目指す「彩の国シェイクスピア・シリーズ

その第34弾として上演されているのが

舞台

『ヘンリー五世』

2019年2月8日~24日
@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

です。

今回はこちらの舞台を観劇してきたので、感想とあらすじ、キャストさんを紹介します!!

(観劇は2月23日13:30公演)

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彩の国シェイクスピアシリーズとは

彩の国シェイクスピア・シリーズ」は、イギリスの劇作家シェイクスピア(1564~1616)の全37作品すべての上演を目指すシリーズ。

「世界のニナガワ」とも呼ばれた演出家、故・蜷川幸雄さんを芸術監督として1998年から始まり、第33弾2017年の『アテネのタイモン』からは二代目の芸術監督・吉田鋼太郎さんの演出によって上演を続けています。

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過去の上演作一覧を見る

前作『ヘンリー四世』のあらすじ

ヘンリー四世』のあらすじを読んでから見ると、王の成長がよりわかると思います!

あらすじを見る

『ヘンリー五世』の予告編

『ヘンリー五世』のあらすじと上演の感想

※原作と記憶に基づいて書いているため順番は正確でない部分もあるかと思います。申し訳ありません。個人の解釈も含まれていますのでご了承ください。※あらすじのつもりでしたがかなり長くなってしまいました...笑

今回の作品『ヘンリー五世』は、前に続く『ヘンリー四世』の映像から始まります。

『ヘンリー四世』の映像

ヘンリー四世の時代の、「ハル王子:のちのヘンリー五世」(松坂桃李)と、大酒のみの悪党フォルスタッフ(吉田鋼太郎)との仲睦まじい場面から、ホットスパーの反乱、シュルーズベリーの戦い、そして王の死によってハル王子がヘンリー五世となった場面が投影され、過去の王子の様子が前作を見ていない人にもわかるようになっています。

ここから舞台へ...

父・ヘンリー四世の死によって、ハル王子はヘンリー五世となりました。

ヘンリー五世の戴冠式。フォルスタッフは新王の即位を喜び、声をかけました。しかし王はフォルスタッフに対して、「昔の私と思ったら大間違いだ」と冷たく突き放します。

プロローグ

コーラス(説明役)(吉田鋼太郎)が、これから始まる物語の説明をします。

この舞台上に描かれることは、虚構であり、"観客の想像力に頼る"という演劇の本質を示す力強い台詞が紡がれます。

・・・ひとえに皆様の想像力にお任せするほかありません。どうかご想像願います、いまこの小屋のなかにイギリス、フランスの二大強国が閉じ込められ・・・われらの足らざるところを、皆様の想像力でもってどうか補ってください、一人の役者は千人をあらわし、そこに無数の大軍がいるものと思い描いてください。・・・

『ヘンリー五世』小田島雄志訳

ただの前口上だけではなく、ユーモアもまじえつつの説明で楽しませてくれました!

王、フランスへの進軍を決意する

王は、"放蕩息子"と呼ばれた皇太子時代から心を入れかえ、悪友たちとの関わりを絶って、才知あふれ、皆から尊敬を集める立派なイングランドの新たな王が誕生しました。

ヘンリー五世は、フランスの王位継承権を主張し、フランスの国王へ使いを送ります。

フランスの王位継承権は、曾祖父の父の妃がフランスのイザベラという女性であったため、王は自らにもフランスの王位を継承する権利があると考えています。

しかし、要求の拒否とともにフランス皇太子からは"テニスボール"が贈られてきます。

"テニスボール" = 皇太子時代の「遊び好き」な王を皮肉り、「テニスボールで遊んでいろ」という意味が込められています。

"このテニスボールを砲弾に変えてラケットで打ち返す"と返答し、ヘンリー五世はフランスへの進軍を決めます。

このときのヘンリー五世の衣装!!肩にかけたマントをバサッとはらって椅子に座ったのですが、もうそこだけで惚れます絵になりますかっこよかった。。。笑

それと、思い悩む姿も美しかったです。(語彙力)

王の横に並んだとっても美形な二人の弟くん✨立ち姿が大変麗しかったです!気になっている役者さんです!

王、裏切りにあう!?

フランスへの出発をひかえたサウサンプトンという港町の場面。

イングランド国内には、フランスに寝返った3人の貴族たちがいました。しかし、聡明なヘンリー五世はその陰謀を暴き、厳しい処罰を言いわたします。

この厳しい決断には、ハル王子時代からイングランドを背負う王への成長を見ることができます。

王に見捨てられたフォルスタッフの最期

場面はロンドンの居酒屋へ。王に見捨てられたフォルスタッフは病に苦しみ、亡くなったと伝えられます。フォルスタッフの死を悲しむピストル(中河内雅貴)たちは、やがてフランス遠征への意思を固め出発します。

前作では沢山の登場場面があったフォルスタッフ。この舞台では最初に少し登場しましたが、それ以降の様子は間接的に伝えられるだけで、フォルスタッフ自身は登場しません。注目度が高い人物だと思っていたので、こうもあっさりと死が伝えられたことに驚きました。

イングランド軍を迎え討つフランス軍

フランスでは、王(横田栄司)と皇太子ルイ(溝端淳平)がイングランド軍を迎え討とうと準備を進めます。

皇太子はヘンリーのライバルであり、敵意を燃やしていますが、ハル王子時代の生活を知っているため侮りバカにしています。

イングランド軍からの使者が登場し、フランス王の退位を求めます。

和睦案は認められず、両軍によるフランス領ハーフラーでの戦いが始まります。

王の"ハーフラーの演説"で、

もう一度あの突破口へ突撃だ、諸君、もう一度!

それが成らずばイギリス兵の死体であの穴をふさいでしまえ。

『ヘンリー五世』第三幕第一場、小田島雄志訳

というセリフがあります。

この劇は2度の世界大戦時、兵士や国民に愛国心を持たせ、士気を高めるために上演されたこともあります。前半の言葉は仲間を鼓舞していますが、後半はよく読むとなかなかな言葉を口にしていますよね...王の二面性を感じるようなセリフでもあります。

戦闘シーンの迫力がとにかくすごい!!この舞台の見どころの一つだと思います!!

客席の通路を使用して、劇場全体を使った演出。舞台上いっぱいに戦闘が繰り広げられ、非常に見ごたえがありました。

ハーフラ―の夜

ハーフラ―では、各地から集まった兵士たちが兵法について語り合っていました。

ウェールズ、アイルランド、スコットランド出身でそれぞれに話す言葉にはなまがあります。

上演は日本語なので、方言や独特な言葉づかいでお国訛りを表していました!

観劇した方はとても印象に残っていると思います...ネギを身に着けたフルエリン...笑 ものすごくインパクトのあるキャラクターでした笑

フォールスタッフの仲間であったバードルフとニムが窃盗の罪に問われます。

かつての遊び仲間でしたが、王がくだした処分は死刑でした。

"イングランド軍は品行方正でなくてはならない"というルールを徹底した王を、良いと思うか、冷徹と思うか。人の上に立つ人物として妥当な判断だったのか、感じ方は人それぞれでしょうか。

王、変装して将兵の本音を探る

フランス王は降伏を要求してきますが、戦闘は続きます。

決戦の地、アジンコート(アジャンクール)で王は部下の外套がいとう(コート)を借りた王が身分を隠して兵士たちの意識、本音を聞き出そうとします。

ここで王だと気づかない兵士たちと、「戦争責任論」「王の責任」の議論をかわします。

ウィリアムズら兵士は、「家来として参加させられた戦争で命を落とせば、王の責任だ」と主張します。下級兵に扮した王は、それに反論しますが、ウィリアムズと互いの手袋を交換し、次に再開したときには決闘すると約束します。

一人になった王は、「王には安らかな眠りが訪れることはない」と独白、父ヘンリー四世が王になるために犯した罪についても吐露します。

アジンコートの戦い(別名アジャンクールの戦い)

60000名のフランス諸侯軍に対して、ヘンリー五世率いるイングランド軍は12000名。

実際の史実ではフランス軍約20000名とイングランド軍約7000名

ウェスモランドは圧倒的な兵力の差に援軍を望みます。

ああ、いまここに、本国にいて今日の戦にたずさわらないはずの兵士が一万人いてくれたら!

それを聞いたヘンリー五世は、

だれだ、そういうことを望むのは?

ウェスモランド伯か?

それはちがうぞ、伯爵。

もし戦死する運命にあるとすれば、わが国に与える損失はわれわれだけで十分だ、また、もし勝って生き残るとすれば、少数であればあるほど名誉の分け前は大きくなる。

・・・

私には黄金にたいする欲はない、・・・だがもし、名誉を欲しがることが罪であるとすれば、私はこの世でいちばん罪深い人間ということになる。

・・・

全軍に布告してくれぬか、このたびの戦いにのぞむ勇気を持たぬものは立ち去るがいいと。・・・われわれは、ともに死ぬことを恐れるようなものとともに死ぬことを望みはしないのだ。

今日は10月25日、聖クリスピアンの祭日だ、今日を生きのびて無事故郷くにに帰るものは・・・聖クリスピアンの名前を聞くたびに誇らしく思うだろう。・・・

少数であるとはいえ、われわれしあわせな少数は兄弟の一団だ。なぜなら、今日私とともに血を流すものは私の兄弟となるからだ。

『ヘンリー五世』第四幕第三場 小田島雄志訳

この演説は、"アジンコートの演説"、または"聖クリスピアンの演説"ともよばれます。

原作とは違った演出として、戦いの場面では「ヘンリー五世VSフランス皇太子」が追加されていました。

観劇中に「うあぁ~~~!!!何この二人ビジュアル美しすぎる~~~!!!イケメンとイケメンが剣を交えておる~~~!!!

ん?え?ちょっと待って?二人とも超身分高くない!?戦っていいの!?もし死んだら国がヤバくない!?!?!?」と脳内が大変騒がしくなっておりました笑

(フランス皇太子が死んでしまったのかと思い混乱していたら、最後に包帯&車いすで登場。無事でよかった!笑)

かっこよかったです!ありがとうございます!!

イングランド軍は長弓隊を駆使してフランスに圧勝。歴史に残る大勝利です。これによってフランスはヘンリー五世と子孫に王位継承を認めることとなります。

イングランド軍の勝利後

イングランド軍は伝染病に苦しみつつも、フランス軍を相手に勝利をおさめます。

この勝利によってヘンリー五世はフランスの統治権を手に入れます。

フルエリンのネギを皆で食べ、勝利を味わっていました!

ウェールズの国花は「Leek」:リーキ(西洋ネギ)

また、手袋を交換し決闘を約束していたウィリアムズに王は正体を明かします。ウィリアムズは陛下に対して侮辱を与えたことにはならないと抗弁。王は褒美の金貨を与えます。

皆が勝利の余韻に浸るなか、仲間を失ったピストルはどこか浮かばれない表情をしていました。

が!ここにもフルエリンのネギが登場!かなり強引にピストルを励まして(!?)いました。

大団円と見えても、ピストルのようにどこか影を抱えた人物が登場するのもシェイクスピアの特色の一つです。

喜劇作品のなかにも、恋がかなわなかったり、ひどい仕打ちをうけたりする人物が...ぜひ探してみてください。

そしてネギ!インパクトがありすぎました!皆で食べているシーンでは、劇場中にネギの香りが...!!笑

ネギの香りが漂う劇場は初体験でした笑

結婚と和平交渉

アジンコート(アジャンクール)での勝利の後フランス王宮で和平会議が行われます。

取り決めの細かい部分を検討するため、フランス王の娘キャサリンとヘンリー五世、そしてキャサリンの侍女アリス以外の出席者は退出します。

3人だけが残され、ここで王はキャサリンに「僕をもらってくれ」と求婚します。

片言の英語を話すキャサリンと、英語を話せるアリスにフランス語の通訳を頼みつつ、照れながらも熱く愛を語る王。

恋には不慣れな様子がかわいらしい~と思わせつつ、キスシーンの男らしさ!!キュンとした方も多いはず...!!

フランス語で話すキャサリンは、アリスに教えてもらった英語を練習をする場面があります(第三幕第四場)。

ここは、片言の日本語でしたが、がんばるキャサリンがかわいい~!

映像で見たフランス語と英語のものでは、

キャサリン「Excusez-moi, Alice; ecoutez: de hand, de fingres, de nails, de arma, de bilbow.」
※超意訳です(「ねぇねぇアリス、聞いて!ハンド、フィンガーズ(フランス語風発音で読んでください笑)、ネイルズ、ビルボー」)

アリス「De elbow, madame.」
(「エルボー、ですよ、お嬢様」)

という会話がとても可愛らしかったのです!!

あつーーーーーいキスをかわしているところに、会談を終えたフランス王らが現れ...笑

無事に、結婚と和平が結ばれ大団円を迎えます✨

生演奏が舞台を盛り上げる!

音楽は舞台下手の客席側にギターと打楽器の生演奏で、舞台の雰囲気を盛り上げていました。

戦いのシーンなどでは生演奏の迫力と音圧に圧倒されました!

演奏者は児島亮介さんと、中原裕章さんです。

所属しているユニット「Still Caravan」の詳細はコチラ

『ヘンリー五世』仙台・大阪公演

彩の国さいたま芸術劇場での2019年2月8日(金)から 24日(日)までの全20回公演と、

3月2日と3日の仙台(仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール)公演、3月7日(木) から 11日(月)に大阪公演(梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ)が行われました。

上演時間は?

舞台は二幕構成になっており、休憩と合わせて3時間5分です。

一幕 1時間20分

休憩15分

二幕 1時間30分

これを1日に2公演おこなっている日も...!体力と集中力と本当にすごいなぁと感心するばかりです。

『ヘンリー五世』のチケット・当日券について

劇場での取り扱い、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスでの受付は終了しています。

彩の国シェイクスピア講座Vol.2『ヘンリー五世』徹底勉強会・トークイベントについて

前作『アテネのタイモン』から始まった「彩の国シェイクスピア講座」は、作品の上演期間が始まる前に講師の方が上演作品にまつわるお話をしてくださります。

全5回で、シェイクスピア研究の第一人者でもあり、このシリーズのコーディネーターでもある河合祥一郎先生や、翻訳家の松岡和子先生らが講師として招かれ、『ヘンリー五世』の新たな魅力を発見できること間違いなしの勉強会となっています。

私は11月10日にさいたま芸術劇場の映像ホールで行われた河合先生の勉強会に参加しました。スライド資料をもらい、映像を見せて頂いたり、河合先生のシェイクスピアのセリフ(英語)を生で聞くことができたり!U-25チケットで500円!この値段でこのボリュームの話が聞けるなんて!大大大満足でした!

役者さんが稽古をしている間、私たち観客も作品についての知識を深めることができる企画でした!✨

次回の作品『ヘンリー八世』でもあると予想!ぜひチェックしてください!

また、松坂桃李さんと、吉田鋼太郎さんのトークイベントも2019年1月19日(土)に企画されていました。

「彩の国シェイクスピアシリーズ」では、舞台の上演がより楽しみになるような企画が行われています。

キャスト

出演されていたキャストの方々をご紹介します!

なんと総勢31名!*マークはさいたまネクストシアター

松坂桃李 ヘンリー五世
吉田鋼太郎 コーラス(説明役)
溝端淳平 フランス皇太子
横田栄司 フランス王
中河内雅貴 ピストル
河内大和 フルエリン
間宮啓行 カンタベリー大司教/ハーフラー市長
廣田高志 エクセター公爵
原慎一郎 イーリー司教/ブルターニュ公爵
坪内守 ウェスモランド伯爵
松本こうせい 軍司令官
長谷川志 マックモリス/フランス大使
鈴木彰紀* グロスター公爵
竪山隼太* ベッドフォード公爵
堀源起* オルレアン公爵
續木淳平* マイケル・ウィリアムズ
高橋英希* ケンブリッジ伯爵・グランプレ(Wキャスト)
橋本好弘 トマス・グレイ/ランビュアズ卿
大河原啓介 モントジョイ
西村聡 イングランド軍伝令/フランス使者
岩倉弘樹 バードルフ
谷畑聡 ジェイミー/ソールズベリー伯爵
齋藤慎平 ガワー
杉本政志 ニム
山田隼平 フランス軍兵士/フランス従者
松尾竜兵 ジョン・ベイツ
橋倉靖彦 スクループ卿/トマス・アーピンガム
河村岳司 アレグザンダー・コート/グランプレ(Wキャスト)
沢海陽子 ネル/王妃イザベル
悠木つかさ 小姓/アリス
宮崎夢子 キャサリン
さいたまネクストシアターとは蜷川幸雄指導のもと若手俳優の育成を目的に結成されたカンパニーです。

シリーズ次回作は『ヘンリー八世』

彩の国シェイクスピアシリーズ第35弾は、

2020年2月

芸術監督・演出・出演 吉田鋼太郎 × 主演 阿部寛

とのことです!

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